ポーカートーナメント戦略

海外カジノはキャッシュゲームが主流ですが、日本国内では様々な事情からトーナメント方式が主流です。

キャッシュゲームとの違い

トーナメントもキャッシュゲームも同じポーカーですが、生き残り戦であるためキャッシュゲームと違う部分があります。キャッシュゲームでは登場しないシチュエーションもあり、そのためトーナメント特有の戦略が必要となってきます。

それでは具体的に見ていきましょう。

ブラインド上昇

トーナメントでは一定時間ごとにブラインドが上昇します。

最初の持ち点は50~200BBに設定されていることが多いですが、時間の経過とともにブラインドが上がるため相対的にチップの価値は下がっていきます。
たいてい、普通にプレイしているとチップの増加よりブラインド上昇のほうが遥かに早く、中盤以降はみんながショートスタックの状態で争うことになります。

リングゲームでは100BB程度のビッグスタックでプレイすることができますが、トーナメントではショートスタックでプレイしなければいけない状況が来るため、リングとは違った戦略が必要になってきます。

フリーズアウト

トーナメントではチップがゼロになったプレイヤーから抜けていきます。
リバイやリエントリーがある場合は別ですが、それも回数制限が設けられていることが多いです。

このため、実力があるプレイヤーも「運悪く」負けた場合、それで終了となります。

自分が勝っていても運悪く負ける可能性は常について回ります。

リングであればチップがゼロになっても買い足せば済みますが、トーナメントの場合はそれで終了になります。

そのため「コインフリップ」(五分五分の勝負、いわゆる「じゃんけん」)やオールインをするときは、フリーズアウトのリスクも考慮する必要があります。

最後はヘッズアップ

トーナメントはチップがゼロになったプレイヤーから抜けていき、最後は優勝と2位を決める2人が残ります。
そして、両者の間でヘッズアップ勝負となります。

一般的に、ポーカーはプレイ人数が少なくなると良いハンドを持っているプレイヤーも少なくなります。そのため、スチールやブラフの重要性が増してきます。
最少プレイ人数はヘッズアップと呼ばれる2人ですが、これはほとんどのハンドで参加し、頻繁なベット・レイズで相手を降ろすアグレッシブなプレイが必要になります。

これは10人程度でプレイするリングではないスタイルであり、そのためヘッズアップは経験がものをいいます。

トーナメント特有のルール

MTT(マルチテーブルトーナメント)

事前にイベントとして告知され、予定された時刻になったらゲームが開始します。
1テーブルあたり最大9人であり、複数テーブルで並行して行われます。

全員が同じ持ち点で開始し、これがゼロになったプレイヤーから脱落していきます。脱落した順で順位を決定し、順位に応じて賞金が支払われます。

一定時間ごとにブラインドが上昇していき、最終的にはビッグブラインドの額が手持ちチップを超えるため強制的にオールインとなります(ただし、その前に優勝者が確定することがほとんどです)。

また、開始時間に遅れてもレイトレジスト終了時間までは参加可能です。

SNG(シット&ゴー)

参加希望者を募集し、定員に達したらゲーム開始します。

1テーブルで開催されるミニトーナメントです。

MTTと同様に全員が同じ持ち点で開始し、ゼロになったプレイヤーから脱落していきます。また、ブラインドも一定時間ごとに上昇していきます。脱落した順で順位を決定し、順位に応じて賞金が支払われます。

MTTのサイドイベントとして実施されることが多く、本戦で早々に脱落したプレイヤーを対象に行うことが多いです。

リバイとアドオン

トーナメントでは、「リバイ」と「アドオン」が用意されている場合があります。

「リバイ」は、持ち点がゼロになっても参加料をもう一度支払うことで復帰できるルールです。

「アドオン」は、規定の金額を支払うことで手持ちチップを増やせるルールです。

いずれも回数制限が設けられている場合が多く、またこれらのルールが無いものもあります。

アンティ

参加者全員がアンティとして決められた額をポットに入れます。

以前はルール通り全員がアンティを出していましたが、出し忘れや回収時間がかかるという問題がありました。
そのため、最近ではビッグブラインドが全員分のアンティを出すルールも採用されています。

アンティの合計はBBとほぼ同じであり、プリフロップのポットが膨らむためオッズ計算に影響してきます。

トーナメント全体の流れ

トーナメントでは、ブラインドが一定時間ごとに上昇していきます。
そして、プレイヤーのチップはブラインドと比較してショートスタックへ向かっていきます。

残りチップアベレージとブラインドの比率、残り人数から、トーナメント全体は4つのフェーズに分類されます。

トーナメントは上位数人のみ入賞ですので、序盤に飛んでもバブルで飛んでも結果は同じです。
なので序盤はルースに打つことで分散を大きくして、運が良ければ上位に食い込めるようにすることが基本です。

次に、それぞれのフェーズについて詳しく説明します。

序盤(開始~50 BB)

全員が同じ持ち点でトーナメントがスタートします。この時点では50~200BBあることが多いです。

チップが多いため自由度が高く、様々な戦術を選択できます。

ブラインドが小さいため小競り合いが多く、あまり飛ぶプレイヤーはいません。
チップ増加よりもブラインド上昇のほうが早く、ほとんどのプレイヤーがショートスタックになって中盤へ向かいます。

中盤(50 BB~ファイナルテーブル)

ブラインドが上がって残りチップアベレージが50 BBぐらいになってくると、トーナメントも中盤に入ります。

このぐらいのチップ量だと、ポットコミットしやすいため取れる戦術に限りが出てきます。

また、序盤でチップを減らしたプレイヤーはここで10BB程度になっていることも多く、プリフロップオールインで突っ込んできます。

このあたりからオールインの声が頻繁に飛ぶようになり、チップがゼロになったプレイヤーがどんどん脱落していきます。

人数がどんどん絞り込まれていき、残り10人程度になるとファイナルテーブルへ移ります。

ファイナルテーブル

残り10人程度になると、1つのテーブルに集められてファイナルテーブルが始まります。

順位が上がるほど賞金額も上がっていくため、一つでも上の順位を目指していくことが重要になります。

そのため、誰かがオールインをしたときは皆で飛ばしに行く戦術も有効になります。

ヘッズアップ

トーナメントの最後は、残り2人のヘッズアップを行います。

プレイヤーがまとめて飛んだ特殊な例を除いては、トーナメントの最後は必ずヘッズアップになります。

ヘッズアップは複数人と違い、2人とも強いハンドを持っていない場合が多いため、ベット・レイズやブラフで相手を降ろすことが重要になってきます。
そのため、通常のプレイと違った特殊な戦術が必要になってきます。

序盤の戦略

ビッグスタックを目指す

トーナメント戦では、最初にシートアウトしても、バブル(入賞する着順の一つ前)でシートアウトしても、結果がゼロであることに変わりはありません。
そのため、優勝か1飛びか、序盤はAll or Nothingの方針でプレイします。

よほど大きいトーナメントでない限り、チップ増加よりもブラインド上昇のほうがはるかに早いです。
ハンドを絞って期待値プラスを積み重ねるプレイでは、ブラインド上昇に追いつかず中盤あたりでショートスタックになり、そのまま自然死することとなりかねません。

また、中盤戦でチップ量の多いプレイヤーはスキルを活かしたプレイができますが、ショートスタックは降りるかオールインしかできません。
そのため、中盤戦でチップのあるプレイヤーはスキルを活かしたプレイができる一方で、ショートスタックのスキルを封じ込められる戦略的に優位な立場となります。

そのため、序盤はチップの山を築くことから始めます。
まずはスタートチップ量の2倍が目標です。

序盤は200BB程度あることが多いため、レイズ額を多めにします。
オープンレイズは約4~5BB、リンパーがいる場合はスタックの20分の1をベットします。フロップ以降、ハンドがあるなら序盤からオールインを目指すつもりで問題ありません。

チップの山を築くためにはハイリスク・ハイリターン、極力分散が大きくなるようにプレイし、投機的なハンドでも参加してビッグポットを獲得する機会を増やします。

たとえばスモールポケットやスーテッドコネクタなど、ほとんどは弱いハンドのまま終わってもボードにマッチすれば非常に強くなるハンドは、どのポジションからでも積極的に参加していきます。
また、強いハンドを持ってレイズしないスロープレイも通常は悪手ですが相手のハンドリーディングを狂わせることができるため、ドローハンドを引かれなければ、後に大きなベットをしてもブラフだと思われてコールしてもらうことができます。

フロップ以降はドローを積極的に引きに行って、またコンティニュエーションベットもセカンドバレル、サードバレルまで打ち続けます。

とにかくチップの山を築くか、あるいは早めに飛ぶかのどちらかになるようにプレイします。

ビッグスタックになったら

幸運に恵まれビッグスタックの目標を達成できたら、ギアを切り替えて今度はタイトにプレイします。

トーナメント戦では順位ごとのプライズ額が決まっているため、チップが増えてもバリュー増加は逓減していく傾向にあります。
たとえば自分のスタックが総スタックの8割を占めていたとしても、プライズプールの8割を受け取れるわけではありません。受け取れるのは、あくまで規定のプライズ額のみです。
そのため、無理をしてスタックを増やしても、それによって得られるバリューは少ないのです。

そこで、これまでのような投機的なハンドで参加することはやめて、せっかく築いたビッグスタックを減らしてしまわないよう慎重にプレイします。
ビッグスタックのまま中盤戦に突入することができれば、その優位を活かしてミドルスタックにプレッシャーを掛けながらチップをかき集めることができます。

ショートスタックになったら

運悪く初期チップ量の半分まで減ってしまったら、ハンドを絞ってダブルアップによる逆転狙いに切り替えます。ブラインドが上がってしまい、オールインしてもオッズコールされてしまう前にスタックを増やしましょう。

また、リバイやアドオンがある場合、それらは最初の参加費より安いことが多いです。なので、積極的に勝負を仕掛けて飛んだらリバイをしたほうが期待値は高いです。

大きなイベントのとき

かなり大きなイベントになると、記念参加的なプレイヤーや運でサテライト通過しただけのプレイヤーもいます。
こういったプレイヤーはルーズに参加、なんでもコール、大きくベットすれば降ろせるんでしょ的なブラフをする傾向にあります。

そういう時は、これらのフィッシュを刈り取る戦略でプレイします。
ハンドを絞ってブラフはせず、相手のブラフをキャッチするようにプレイすると楽にビッグスタックを目指せます。

中盤の戦略

トーナメントも中盤を迎えると、ブラインドが上昇してM値が下がってきます。
ほとんどのプレイヤーがM値20以下になり、一部のプレイヤーは10BBを切っています。
このあたりからオールインが多くなり、シートアウトするプレイヤーが増え始めます。

プリフロップのプレイが重要

スチールを仕掛ける

自分のポジションがボタン、もしくはその1つ前なら積極的にレイズしてブラインドを奪いましょう。
スタックに占めるブラインドの割合が大きいため、トーナメント中盤では非常に重要なテクニックです。

スチールを仕掛けるのは、自分と相手の有効スタックが15~30BBのときです。

有効スタックがこれ以下のときはレイズした時点でポットコミットしてしまうので、弱いハンドでオールインせざるをえなくなります。
また、これ以上のときはブラインドの割合が小さいためスチールによるメリットがあまりありません。

コネクタやスーテッドは降りる

コネクタやスーテッドといった投機的なハンドは、完成しても引き出せるチップが少なくインプライドオッズがありません。
そのため、基本的にこれらのハンドは降りるようにしましょう。

KJでコールしない

KJは絵札が2枚で一見強そうに見えるハンドですが、プリフロップの勝率ではAxに負けています。
フロップでノーヒットなら、Aハイのレイズに対して降りるしかありません。

また、中盤で先にレイズを仕掛けてくる相手はAK、AQ、AJといったハンドを持っていることが多いです。
そのため、もしKJのどちらかがヒットしてもAキッカー相手にドミネイト負けしやすく、しかもトップヒットで降りられないため全てのチップを取られてしまいます。

ミドル以下のポケットペアはスクイーズに注意

ポケットペアからのセットマインは完成する確率が約10%のため、10倍のオッズが必要です。

ここで、もしミドル以下のペアでコールして後ろのプレイヤーがスクイーズを仕掛けてきたとき、勝率は良くて50%のためオールインするメリットが薄く、またセットマインのオッズも合わないため降りるしか無くなります。

そのため、ミドル以下のペアはスクイーズを警戒し、場合によっては降りることも考えましょう。

10BB以下はオールインorフォールド

スタックが10BB以下のときは、レイズしてフロップがオープンすると残りスタックとポットがほぼ同額となるため、オールインの選択しかありません。
いずれにせよオールインをするのであれば、プリフロップ時点で全て入れたほうがフォールドエクイティがあります。

ショートスタックのオールインに注意

中盤以降では、スタックが10BB以下を切ってオールインするしかないプレイヤーが存在します。
そういったプレイヤーがオールインしてくることも考えてプレイしましょう。

ビッグスタック戦略

できるだけ多くレイズで参加して、SB、BBを攻撃します。すぐにポットコミットするブラインドですので、SB、BBはマージナルなハンドでは参加できず、降りるかオールインで返すしかないでしょう。
もしSB、BBがコールしてきたらフロップにCBを打ちますが、深追いはしません。

とにかく、しっかりベットして場にプレッシャーをかけていきます。
スタックが少ないプレイヤーをオールインorフォールドしかできない状態に追い込むことでスキルを封殺します。

また、ビッグスタックであること自体が有利な状態にあります。
そのため、ビッグスタックから転落するリスクのあるコインフリップ(じゃんけん)は期待値が大きくプラスである場合を除いてしません。

ミドルスタック戦略

一番戦いにくいスタックです。

多少チップを多く持っていてもビッグスタックとぶつかれば一発でシートアウトするリスクがあります。
そのためビッグスタックとぶつかることは避け、自分よりチップの少ないプレイヤーを狙います。
仮にそれでチップを失ってもまだ残るため復活を狙えます。

ショートスタック戦略

ハンドを絞っていいハンドが来るのを待ちます。

残りのスタックが10BBを切っていたら、基本的にプリフロップでオールインするか降りるかしかありません。
プリフロップで中途半端にレイズしても、フロップでポットコミットしてしまいオールインせざるをえません。それならば、最初からオールインしたほうが周りをフォールドさせるフォールドエクイティを稼げます。

終盤の戦略

トーナメント中盤からシートオープンするプレイヤーが増え、テーブル数もどんどん減っていきます。
残り10人ほどになると、ファイナルテーブルでのプレイになります。

一つでも順位を上げる!

トーナメントは、順位ごとの賞金に傾斜がついています。
そのため、終盤は一つでも順位をあげることに注力しましょう。

まず、意識する必要があるのがバブルラインです。

バブルラインとは、賞金が出る順位の一つ前を指します。
賞金が出るかゼロかの境目になるため、プレイヤー全員が生き残りを賭けて非常に固くなります。
場合によっては、モンスターハンドでも降りることを考えます。

そういった心理を利用して、チップリーダーは非常にプレッシャーを掛けやすい状態になります。
レイズすれば全員が降りるため、簡単にブラインドを奪えます。

ショートスタックを飛ばせ!

順位を上げるにはどうすれば良いかを考えると、ショートスタックを飛ばすことがゴールとなります。

ショートスタックのオールインに対して誰かがコールしたときは、参加するならコールで回します。
出来るだけ参加者を増やして、ショートスタック以外の誰かが勝てばよいという状態にします。

もしレイズをして他のプレイヤーを降ろしてしまった場合、もしかしたらそのプレイヤーが最終的には勝ってショートスタックを飛ばせていたかもしれません。
それがレイズをして降ろしてしまったために、ショートスタックが勝って復活してしまう結果になることがあります。

そのため、ショートスタックのオールインは、みんなで飛ばすことを考えてコールで回しましょう。

ヘッズアップはナッシュ均衡を使って最適プレイする

ナッシュ均衡とは、すべてのプレイヤーが最善の戦略をとっている状態であり、そこから変化せず均衡している状態を差します。この概念は、有名なゲームの理論に出てきます。

ヘッズアップでお互いが最善のアクションをすると仮定して、どのようなアクションをすれば最適なのかを導き出すためのモデルです。
前提として、プレイヤーはどちらもオールイン or フォールドしかできないとします。
※レイズも可能ですが、ポットコミットしてしまうためオールインでもコールせざるを得ず、それなら最初からオールインしたほうが相手を降ろせる可能性があってマシという状況です。

ポーカーは順番にアクションするため、先にアクションする側は次のように考えます。

(先のアクション:BTN)

  • オールインして相手がコールしたとき、オッズは2倍になる。
  • そのオッズに必要な勝率は50%以上
  • 現段階において相手のハンドはランダムハンドであり、それに対して50%以上の勝率があればオールインしたほうがよい

ランダムハンドに対して50%以上の勝率があるのはすべてのポケット、Ax、Kx、絵札2枚というところでしょうか。
これらのハンドが来たら、先にアクションする側はオールインすることが最善の戦略となります。

さて、このアクションを受けて後にアクションする側は次のように考えます。

(後のアクション:BB)

  • 先にオールインしてきたプレイヤーは、ナッシュ均衡を知っている
  • すなわち、ランダムハンドに対して勝率50%以上あるハンドレンジでオールインしている
  • 相手がオールインするハンドレンジに対して、自分の勝率が50%以上あればコールしたほうがよい

この場合、コールできるのはポケット、Ax、絵札2枚の組み合わせだと思います。

ヘッズアップのハンドレンジは、複数でプレイするときと比べて非常に広いです。
そんなとき、ナッシュ均衡の概念を知っていると、ハンドレンジの基準を知ることができます。