チップ=銃弾
ポーカーでプレイヤーがゲームに介入する方法の一つは、ベット・レイズをすることです。
十分なベット・ワークをするためには、十分な手持ちチップが必要です。
ポーカーを戦争になぞらえるなら、チップ=銃弾と言えます。
弾が無ければ戦えないように、十分な手持ちチップが無ければテクニックをフルに活かすことができなくなります。
チップが多いか少ないかは、その時点でのブラインド額との比較で判断します。
M値(CSI)
チップの多寡を測る有名な指標として、M値(CSI)があります。
これは、「仮にすべてフォールドしたとして、何周ブラインドを回れるか?」の値を指標としたものです。
M値(CSI)は次の式で表されます。
- M値(CSI) = 手持ちチップ ÷ (SB+BB+アンティ×テーブル人数)
たとえば、M値(CSI)が10だとしたら、ずっとフォールドし続けていた場合にブラインドを10周回れる計算になります。
一般的に、テクニックをフルに活かして戦うにはM値(CSI)が20以上必要と言われることが多いようです。
アンティを含めない場合は、だいたい手持ちチップが30BB以上必要であるといえます。
検証
有効スタックとしていくらあれば十分なのか、検証をしてみました。
まず、テクニックをフルに活かしたベット・ワークを、「全てのストリートでベットする」と定義します。
すると、必要なチップ額は次のように計算できます。
※アンティは含まず。SB、BBはプリフロップでフォールドすると仮定
フロップ以降は2人(ヘッズアップ)になるテーブルの場合
自分 | 相手 | SB/BB | ポット額 | ベット割合 | |
プリフロップ | 3 | 3 | 1.5 | 7.5 | 3bb |
フロップ | 4.5 | 4.5 | 16.5 | 0.6 pot | |
ターン | 8.25 | 8.25 | 33 | 0.5 pot | |
リバー | 19.8 | 19.8 | 72.6 | 0.6 pot | |
合計 | 35.55 |
フロップ以降が3人(ヘッズアップ)になるテーブルの場合
自分 | 相手1 | 相手2 | SB/BB | ポット額 | ベット割合 | |
プリフロップ | 3 | 3 | 3 | 1.5 | 10.5 | 3bb |
フロップ | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 29.4 | 0.6 pot | |
ターン | 14.7 | 14.7 | 14.7 | 73.5 | 0.5 pot | |
リバー | 44.1 | 44.1 | 44.1 | 205.8 | 0.6 pot | |
合計 | 68.1 |
ざっと計算すると、すべてのストリートでベットするために必要なチップ量は、フロップ以降が2人(ヘッズアップ)の場合が35.55BB、3人の場合は68.1BBとなりました。
このように考えると、有効スタック量はM値(CSI)20以上(およそ30BB)というのは妥当な数字とも言えます。
また、フロップ以降が3人でベットしても最後まで付いてくるルーズなテーブルの場合は、約70BB(68.1BB)が必要なこともわかります。
この考え方を応用して、ベット割合を変えた場合やフロップで1人降りた場合、アンティを含む場合などについても、有効スタック量の計算をすることができます。